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――それよりも! クルスは目の前にいる敵へと、ずっと聞きたかった事を尋ねる。
「単刀直入に聞こう。貴様等なのか? あの黒天使共を生み出している張本人は!?」
ここに来るまでに、クルスはずっとその事が気になっていた。一日にして全てを失ったあの悪夢。その傷は、この地に来れた今でも、完全に癒えたとは言い切れない。今でもなお、セントアンジェロを覆い尽くすあの炎が、悲鳴が、血が、瞼の奥に焼き付いて離れないのだ。
だが、それを聞いたルシの表情が一変、激しいものから真顔へと豹変した。それはまるで、怒りを通り越して、呆れたとでも言うような。
「なんだお前、クルセイダーだかなんだか知らないが、本当に知らないんだな」
そして真顔から、徐々に侮蔑めいた笑みへと変わっていく。
「思えばあれは、起こるべくして起こった事件だったな。まさか、てめえらのくそったれた茶番劇の為に作った傀儡に、自らやられちまったんだからよ」
「どういう意味だ」
クレイモアの切っ先を近付けながら、クルスは詰問する。しかし、ルシの表情は変わらなかった。
「そのまんまの意味さ」
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