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「ふざけるなっ!!」
堪らず、クルスは床を蹴ってルシへと肉薄する。しかし、瞬時に起き上がったルシは、襲い掛かる斬撃を軽々と避けると、二撃目を回避した際に、どこかへと姿を眩ませてしまった。
いきなりの消失。しかし、辺りを見回してみると、大体の気配が分かった。ルシは、縦横無尽に柱を跳び回っている。
「どこだ!? ……くそ、こんな悪趣味な柱ばかり建てやがって。生きとし生ける役目を終えた者達とは言っていたが、死体をまるで生きてるかのような状態で柱の中に閉じ込めるなんて。正気の人間がやるものではない!」
ルシを探すうちに柱の中にいた人間が視界に写って、思わずクルスは怒鳴った。すると、すぐにルシからの答えだけが返ってきた。
――お前達のように、神だの、聖天使だの、実在しないものに対して『ありがたやありがたや』と抜かしている連中の方がよっぽど滑稽だよ!
姿は見えない。しかし、その声の主は明らかに近付いて来ている。そして、次の瞬間――クルスの足元を何かが襲った。
倒れる彼の元へと、ルシが切っ先を下に向けて落下してくる。
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