永久寝―とわね―の間

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「もう終わりか!? 大人しく出てこい!」  ルシの声が響く。彼のあの技は実に厄介だ。放つまでに『撫でる』という若干のロスがあるものの、あれだけでは間合いを詰める事が出来ない。  炎の黒天使と戦う時のように、火炎を振り払うのと同じ要領で斬撃波を防げたら良いものだが、あの切断力だ。一歩間違えれば、クレイモアごと自分が真っ二つにされてしまう。  しかし、それ以上にクルスを苛立たせているのはあの答えだ。「知らないのか?」だと? そして、「くそったれた茶番劇の為に作った傀儡」? 何の事だか皆目検討もつかない。 「ああそうだ。クルスと名乗ったか? さっぱり意味の分かっていないお前の為に、俺がちゃんと言ってやる」  彼の心情を見透かしたのか、ルシがそんな事を口にし始めた。だが次の瞬間、さっきまでのルシの侮蔑めいた声色が、出会ったばかりの時の、あの怒りを孕んだものに変わったのだ。  彼の言い放ったその内容に、クルスは愕然とする事になる。 「黒天使とお前は呼んでいるようだが、あれを生み出しているのは、お前達聖天使教会じゃないか!!」
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