362人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬、そいつが何を言っているのか理解出来なかった。
自分の大切な故郷を奪い、護るべき人々の命を奪い、数多の人達を恐怖と失意のどん底に陥れた、あの忌まわしい怪物共を生み出したのは、他でも無く自分達聖天使教会だと?
黒天使からか弱い民衆を護り、戦う存在だと信奉してきたクルスにとって、それはなんとも信じ難く、許し難い内容だった。
例えそれが、冗談めいたものであったとしても。
「ふざけんなああああああ!!」
柱から飛び出し、クルスは激昂のままにルシへと直進した。今や理性など完全に明後日の彼方へと消え、彼の走りを止めるものはどこにも無かった。
さっきまであれ程警戒していた斬撃波をたやすく振り払い、クルスはルシへと憤怒の刃を振り下ろす。
しかし、その攻撃が刀に触れた途端、青白く光る刃がクルスを弾いた。自分の身体ごと、彼は背後へと跳ね飛ばされる。
肉薄されるその刹那、ルシは刃を二度撫でていた。その際刃に付与された絶大な力は、クルスを弾き飛ばすには十分なほどのエネルギーを秘めていたのだ。
背中から転がるクルスを見ながら、ルシはさらに言い放つ。
最初のコメントを投稿しよう!