人間好きな悪魔

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明るい森を駆ける音一つ。 柔らかな木漏れ日の下、小柄な影が風を切る。 は、は、と息を弾ませ、胸には分厚い本を抱き、影はただ走る。 その身体は纏った外套で被われているが、大きさからして子供。時折赤紫の瞳が覗く。 「こら、腕白小僧」 急に現れたもう一つの影が、小柄な影をつまみあげた。 「わぁっ!?」 襟を引っ張り上げられ、子供は宙に浮く。外套のフードが外れ顔が露になった。
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