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「なっ、何……」
声は言葉にならなかった。
ラズロは、彼女の手に唇をおとした。
……昼間より、ゆっくりと。
「……俺の妻に、なってくれるね?サラ」
彼が喋ると、時折その唇が手の甲に当たる。
吐息を感じる。
「…………っ」
顔が火照って、サラはどうしたらいいのか、わからなかった。
完全に、答えに詰まった。
「答えては、くれないのか?」
ラズロは手を握ったまま、反対の手で彼女の長い髪に触れた。
柔らかな髪は、するりと指通りがよくて
彼は何度か髪を梳く。
「……ふ、ふざけるなっ!!」
サラは叫んだ。
どん……と、ラズロを押しのける。
この感情は、怒りだ、と
サラは思った。
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