紅の姫君

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「……大丈夫だ、レオン。 つい、言い争いになってしまってな。 騒いで悪かった」 サラはレオンの姿を見て、冷静を装った。 さっき自分から追い払ったくせに、早速ラズロと一緒のところを目撃させてしまうなんて。 とても、決まりが悪かった。 「……今日はこれで、失礼するよ。俺こそ悪かった。 とにかくサラ、明日は頼むぞ」 ラズロは変わらぬ微笑みを浮かべると、去っていった。 「……大丈夫なら、いいんだ。 話を邪魔して、すまない…… おやすみ、サラ」 レオンもすぐに帰っていった。 ……サラは、ベッドに突っ伏した。 言い知れない興奮が渦巻いて、心が落ち着かない。 「どうしたらいい……。 私はどうしたらいい?」 ラズロの言うことを、どこまで信じたらいいのか。どういう判断をしたらいいのか。 レオンに、どう対応したらいいのか。 そして明日、……新婚初夜、どうなってしまうのか。 考えることがたくさんあって その夜はあまり眠れなかった。
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