偽りの誓い

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……長い、長い夜が明けた。 置き時計の針が、きっかり5時を差したとき。 サラの部屋の扉が、コツコツと叩かれた。 「お早うございます、ルート様。 失礼いたします」 城の侍女達が、ぞろぞろと部屋に入ってきた。 7、8人はいるようだ。 まとめ役の女が、合い鍵を持っていたらしい。 「ルート様。 これより、婚礼衣装にとお召し替えいただきます。 わたくし達が、お世話いたします」 (なんて、早いんだ。 5時だぞ? まだ外だって暗いじゃないか) サラは休むことができずに靄がかかった脳を再起動させようとして、自分のベッドを整えはじめた。 「あらお嬢様、そのままで結構でございますのよ。 全てわたくし達に、お任せ下さいませ」 「さあ、どうぞこちらにいらっしゃって。 まぁ、なんてお綺麗なのでしょう! 庭の白バラが、お嬢様の美しさに頬を染めて 真紅に変わってしまいそうですわよ」 ……この待遇は、本物の姫扱いのようである。 赤組は、ここに比べると放任主義だったといえるだろう。 特別な日であったとしても サラはルートが、侍女に取り囲まれて持て囃されるのを、見たことがない。 サラ自身も、面と向かって こんな恥ずかしいセリフを言われたことがなかった。
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