226人が本棚に入れています
本棚に追加
侍女達は、ラズロのこの発言に動揺した。
先ほどの彼の態度、それからこの口調は
出会ったばかりの美しい人質、もとい、妻となる人物に対して向けるにしては
不適当なものだったからだ。
サラはその言葉には応えず、深緑の神秘的な瞳で
じっとラズロを見つめた。
ラズロはふっと笑顔を浮かべる。
「……心配するなってことさ。
信じてほしい。
この白組では、俺が必ず君を守るよ」
それだけ言うと
じゃあ後で、とラズロは部屋の扉を押した。
「……私は!」
サラは、彼の背中に呼びかけた。
ラズロが振り返る。
「……自分の身は、自分で守る。
誰かに頼って生きようとは、思わん。
お前がどんな考えを持っていたとしても、私はそうするぞ」
啖呵をきった。
ラズロはまた微笑み返す。
「頑固者。お前らしいよ。
……俺が変えてやるさ」
彼はそう言い残して、部屋をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!