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(俺が変えてやるだと……?
ふざけるな……)
サラは彼が出て行った扉を、じっと見つめ続けた。
「ラズロ様なりの、激励ですわ。
気負うことはございません」
呆気にとられている侍女のうち、そう言った一人の女だけは
サラの支度をする手を動かし続けていた。
気色の悪い褒め言葉も、そういえば彼女は口にしていない。
「ありがとう」
サラは言った。
そして、儀式は予定時刻に始まり、滞りなく進められていった。
華やかな、純白のドレス。
サテン地の靴の輝き。
装飾用に摘み取られた、白バラの香り。
オーガンジーに、レースのあしらわれた長いヴェールを纏って歩く。
「全て、汝の意志であることに、間違いはないな。
汝はこの男性を生涯の伴侶とし、いかなる時も慈しみ、愛することを
神に誓うか?」
神々しい衣装を身に着けた司祭が、サラにそう問うた。
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