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初めて人を殺した時
彼女は、まだ9歳の誕生日を迎えたばかりであった。
刀を振り抜いたらあっさりと、敵が倒れた。
たいした手応えも感じなかった。
(人って、簡単に死んでしまうんだな)
彼女は漠然と、そんなことを思っていた。
「なんということをしてくれたんだ、サラ!!
報復される。
今度はお前が
奴らに殺されるぞ!!」
耳元で誰かが怒鳴っている。
しかし、それもなんだか靄がかかったように遠くに聞こえた。
「私に考えがあります、組長」
もうひとつ聞こえた声は、彼女がよく知る穏やかな声だった。
「サラ、お前は私の息子になりなさい」
穏やかな声の主は、彼女に向かってそう言った。
「私の養子になるんだ、サラ。
今日から、お前の名前はルイナスだ。
お前を男として育てよう。
……そうすれば、敵の目も欺けるはず」
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