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鳥の囀りが聞こえた。
それは目映い朝の訪れの知らせ。
遂に来てしまった旅立ちの日。
あぁ、明日なんて来なければいいって願ったはずなのに……神様の意地悪
「ルル……」
窓から差し込む日差しに悲しく目を細めるルルは、横で母親が静かに自分の名前を呼んでいるのに気付く。
寂しいんだね、私もだよ
そして虚い気味に振り向いた。
「お母さん……」
心配してく「頑張って嫁いでくるのよ!!」
と、ととととっ嫁ぐ!? 嘘、だよね……?
…………あっ駄目だ
お母さんの爛々と輝く眼差しが私には見える私には見える私には見――――
「うわぁぁああああ―――ん!!!!」
ルルは泣きながら家を飛び出した。
お母さんのばかぁ―――――!!!それに、それに……
笑顔で手を振って見送りしてる村人全員も
「バカヤロォオオオオオオオオオ!!!!」
負け犬の遠吠えとも言える雄叫びが一帯の空気を振動させ遠く、山・川・空・異国までに響き渡った。……かもしれない。
こうして魔王を落とす旅に少し喧しい少女は出たのであった。
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