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ひらり、とひとつ淡い桜の花弁も
ひとつ・ふたつと絶え間なく舞う桜は、見上げた空を桃色で埋める。
栗色の髪を結い上げた少女が、舞ってきた桜へと手を伸ばし――、
―――ズルッ
「ッうわぁっ!」
「はっ!?」
咄嗟に横に居た少年が腕を掴む。
「さ、くっ…!おまっ何やってんだよ!?」
「いたた…。」
朔と呼ばれた少女は思いきり打った尻を擦りながら体を起こす。
「だって…ほら、桜」
開いた手の平には一枚の花弁。
得意気にそれを見せてくる少女に、少年は呆れた様子で顔をひきつらせた。
「お前な…!時と場合、…というか!場所を考えろよ!」
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