第一章

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       4 あの戦いから一夜が明け、今日は国立記念日の日。 しかし、国立記念日は急遽中止になり、国民は今、一つの墓の前で祈りを捧げていた。その墓には、こう書いてある。 『我等が団長、ヴォルフ・シャイン様、ここに眠る』 ガイの父、ヴォルフの墓だった。彼の葬儀のために、国民全員がここに集まったのだ。 (親父は、皆に慕われていたんだな……) ガイは改めて父の凄さを実感した。 やがて葬儀が終わり、国民は涙ながらに帰って行った。 「ガイ・シャインよ」 ガイも帰ろうとしたが、誰かの呼び止められ、振り返ると、そこにはこの国の王、レイ・サンクチュアリ・レイモン七世がいた。 「王様……」 「本日の事、誠に不幸であったな」 「いえ。それに、死んだのは俺の親父一人ではないので……」 そう言ってガイは周りを見渡す。
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