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そこにはヴォルフの墓を取り囲む様に他の墓が建っており、何人かの人がその墓で涙を流していた。
「して、王様」
「ん?」
「俺に何か話でも?」
「あぁ、そうじゃったそうじゃった」
王様は何かを思い出した様に手の平を打ち、言った。
「お主に、旅に出て欲しいのじゃ」
「旅に……ですか?」
突然の事に少し驚いたが、ある程度はそうなるだろうと理解はしていた。
何故なら、自分は伝説の勇者の力を持っているのだ。
ならば自分が魔王を倒すのは当たり前の事だ。そして、そのために旅に出ることも……
「うむ。なんでもお主はあの伝説の勇者の血を引いてるというではないか。だからと思ってな」
「そう、ですか……分かりました。早速準備に取り掛かります」
「そうしてくれ。……すまぬな。父が死んだすぐなのに、こんな事を頼んでしまって……」
「いえ、構いませんよ。それに、旅をして、外の景色を見ることで、少しは気持ちが楽になるかもしれませんから……では、支度をするので、失礼……」
そう言ってガイも他の人々と同じ様に帰路を辿って行った。
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