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虚空を彷徨(サマヨ)いながら…
うわ言のように…
宗方の名を呼ぶ恵子の中で…
終焉を迎えようとした宗方は…
亡き恵子の思いを絶ち切るかのように…
『恵子~!』
喉奥から絞り出し…
朽ち果てた。
……………
半年後…
日曜日の朝…
リビングで寛(クツロ)ぐ宗方の背後に抱きつきながら…
『見てぇ…バレちゃったみたいよ』
困惑しながらも嬉しそうに…
今朝のスポーツ紙を差し出す恵子の姿があった。
紙面の見出しには…
(恵子さん…五島の海から甦る)
続いて…
(劇作家…宗方麦氏…結婚へ)
補足で…
(恵子さんと出会った経緯については…黙して語らずの宗方氏)
そう書かれてあり…
苦笑いしながら…スポーツ紙を折りたたむ宗方の背後から膝にまたがり。
宗方の額に唇あてて…
『化身でもいいの』
『恵子さんに負けないくらい…いい恵子になるね』
プライドも無く素直で従順…
宗方にゾッコンの…
その態は…
難しい女…恵子が…
男を愛せる恵子に…
宗方の筋書通り…
見事に変貌した朝のヒトコマになっていた。
……………終り……
最後まで ありがとうございました。感謝
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