一作目

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風を感じることが好きだ。 歩いているとき。 走っているとき。 強風のとき。 俺は一人なんかじゃない。 扇風機やクーラー何かの風は機械的で嫌いだ。 だから俺は毎日毎日歩き続ける。 ある日君と出会った。 長く黒い髪をなびかせながら歩く君と。 俺は君に恋をした。 風の中でゆらゆらと揺れる恋心は君を見つけ出した。 会話をし、メアドを交換し、徐々に仲良くなった君からのメール。 「家に来ませんか?」 俺は焦ったが君に会いたかった。 よってすぐに了承した。 彼女の家にあったのは扇風機。 動いている扇風機だった。 君はその扇風機の前で涼んでいた。 「こっちに来てください。」 俺は君の横にちょこんと腰を下ろす。 君の横で感じた風は以外にも気持ちが良かった。 扇風機も…なかなか悪いもんじゃないな…。  
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