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「お父さん、オムレツ~!」
仕事が休みの日曜日の朝は、お父さんがオムレツを作った。
すごくふわふわでトロトロした、甘い甘いオムレツ。
お姉ちゃんと順番を競って食べる程、とてもおいしかった。
お父さんは、土木仕事をしていた。
土木で鍛えられ綺麗についた腕の筋肉にお姉ちゃんとぶら下がった。
日に焼けた肌は黒くて、夏には気持ちがいいくらいにペロンとはげる腕の皮を、お姉ちゃんと一緒に剥いだ。
なにより足が速かった。
小さな私には世界で一番、何よりも早く見えた。
そして姉妹そろってお父さんにかけっこで勝ったことは一度だってなかったのだ。
でも優しいばかりのお父さんではなく、酒癖の悪いやきもち焼きで、強がりの弱虫お父さんでもあった。
そんなお父さん側にいたのは、お父さんっ子の姉だった。
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