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「ごめんね」
お母さんがお姉ちゃんに言う口癖。
お母さんが気にするところを姉は遺伝的にすべて受け継いだからだ。
いつも精一杯、いっぱいいっぱいでお姉ちゃんを守るお母さん。
人に気ばかり使って、嫌なことを嫌と言えない人だった。
傷つくばかりの強くて弱い人だった。
料理好きで、何気に私と同じくらい三日坊主で少し神経質で。
だからメニエール病という病気をもっていた。
酷い時は夜中になると、いつもトイレに走って吐いた。声を殺して泣いていた。
それに気づき起き出して看病するのは、お母さんっ子の、末っ子、私だった。
お父さんもお姉ちゃんも、一度寝ついたら朝まで決して起きることはなかったのだ。
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