私の世界は、

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「お姉ちゃんみたいにならんで、弱くならんでね。強いよね?」 学校から帰ると目を真っ赤にして腫らした、お母さんに言われた。 隣でお姉ちゃんは泣いていた。 「うん」 それを言うのが精一杯で、その時は考えるのが難しくてただ必死に強くなった。 もとから気が強かった私は、お姉ちゃんに「心配」を譲った。 小さい私からみても、お母さんが精一杯なのは分かった。 心配をかけないように、それが私の、お父さん似のお母さんっ子の、私が出しだ答えだった。 「参観日来なくてもいいよ!」 「ひとりで大丈夫だよ!」 学校での弱音を吐くのをやめて、いつの間にか、何も気にしない男の子のような子どもになった。 そして密かにひとりであれこれと考えるのが好きな子どもだった。
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