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そろそろ半袖が恋しくなってくる、初夏の夕暮れ。 傾きかけた太陽は、 まだしつこく往来を歩く人影を長引かせていた。 「冷たいシャーベットが食べたいぃぃ…」 額にうっすら汗をにじませながら、莉子は目的地を目指していた。 最近の交通機関は 『地球に優しいエコ』を推奨しているため蒸し暑く、ただ乗っているだけでも体力が奪われる。 地球にいい事は、人間の便利さとはつくづく相性が悪いらしい。 あと2、3分で目的地のカフェ 『wish star』が見える。 この暑さもあと少しの辛抱だ。 店に着いたら、まず絶対に近江さん特製のおいしいアイスティーを飲むぞ!と、気合いを入れ直し、莉子は人の流れをよけながら、足早に歩みを進めた。 その人混みの中いくつも視線が、背中まで伸びた髪をサラリとなびかせた少女に惹き付けられた事を、少女自身だけが知らない。 .
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