第弌章~堕天咫、那加丸将太~

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 時計のアラームが俺の優雅で高尚な睡眠を妨げる。  俺には呆けている時間など与えられていない。何故なら、俺は「特別」な存在だからだ。こんなことを言えば笑われるかも知れないが、実は、俺は人間ではない。  そう、俺は※天咫界を追放された「堕天咫」だ。何と驚くべきことに、俺は天咫界の皇帝の第壱子息でもある。  そのことに気付いたのは少し前、つまり、人間界の年齢で言えば中学二年の頃だ。よく考えれば、小学生の時からほかの人間とは違っている気がした。いや、正確に言えば違っていたのだ。  今の家族は「天咫界」では仕事ができる優秀な部下だった。姿形が違うのも、人間界の標準規格に合わせたからだ。  煩いアラームを止め、カーテンを片手で開ける。新しい世界の夜明けだ。 「何て清々しい光なんだ(オレカッコイイ)……」  朝日がこの俺を照らしている。当然のことだ、俺は「天咫界」の皇帝の子息だからだ。 「天は俺を味方している(キリッ)……」
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