プロローグ ~始まり~

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センター試験を間近に控え、高校では自宅学習期間、という特別な期間を設けていた。 簡単に言うと、3年生は自宅で自分の満足いく学習をしなさい、というもの。 つまりはその名目上、3年生は学校へは行かなくてもよかった。 その名目に乗っ取り、学校に行かずに居た一人の少年がいた。 カタカタカタカタ……カタカタ… キーボードを叩く音が部屋に響く。 しかしイヤホンを通し、曲を聞く彼の耳には一切その音は入らない。 お気に入りの曲を聞きながらいつもの様にネットを使い時間を潰す。 次第にネットでの検索を止め、聞いていた曲を歌い出す。 彼の名は佐伯淳 県内でもそこそこのレベルの高校に通う高校3年生 もちろん、進路は大学受験。 しかしあくまでもそれは淳の意志では無く両親の意志だった。 つまり、淳は親が大学に行け、と言うから大学を選んだのだ。 志望大学に対して執着の無い上に、元々勉強しなくてもある程度成績のとれる事も重なり、センター試験まで残りわずかにも関わらず、勉強する事なく、PCをいじっていた。 しばらくして歌うのを止め、再びPCをいじり始めた。 そしてあるサイトを開いた。 それは淳が少し前に見つけた音楽のサイトだった。
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