最終章・それぞれの愛

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何故、涙が? 和解、と言うのはおこがましいかもしれないが、少しだけ前進できたような 自分たちの関係に。 そして、今、 礼央と俺 お互いが、お互いの幸せを望む関係になれたことに。 それから、以前、詩織ちゃんが言っていたこと。 「隼斗が、一番そばにいてくれる人の大切さに気がついた時。 そしてその人を本気で守りたいって思った時。 その時私たちの関係は本当に終わる」 それを思い出し……。 今、やっとその時が来たんだね。 あの時は、なんて悲しいことを言うのだ?と思ったものだが、 今は違う。 今、俺はとても穏やかな気持ちだ。 舞子を抱きしめながら、電話の向こうにいる詩織ちゃんに ありがとう、という想いを込めながら、 「久しぶり、礼央。元気だったか」 やっと、その言葉を発した。 ……あの時君が、泣きながら言っていたことは、 こんなに素敵なことだったんだね。         終わり
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