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なぜかというと……あれは一年の冬のことだった。
「隼斗~。俺、冬休みは、白馬のペンションにバイト行くから、メアリーとルークの世話頼むよ」
礼央は突然そう言い出した。
メアリーとルークとは、礼央の観葉植物のことだ。
「天気いい日は外に出してやってくれ。水はそんなにやらなくていい。やりすぎ注意。これ、お前に預けるから」
と、合い鍵を渡された。
「だったら、メアリーとルークを俺の部屋に運んで、面倒見たほうが」
よくねぇか?わざわざ鍵なんて……と言おうとしたら、
「ばーか。ついでに部屋の換気をしてほしいんだよ。たまに」
「そういうことか」
俺も正月は秋田に帰るけど、こっちにいる間だけでいいんなら……ということで鍵を受け取った。
しかし、
「なんで白馬?そんな遠くまで行かなくても、スキー場なら蔵王とか猪苗代とか、もっと近くに働けそうなとこあるんじゃないの?」
「バカだなぁ、お前。遠くに行った方が羽伸ばせるじゃねぇか」
「何言ってんだよ。お前は普段から羽伸ばしっぱなしじゃねぇか」
真二郎が言った。
もっともだと思い、俺はウンウン頷いた。
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