秘密のキッス

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その日、帰宅すると、礼央の部屋の前でもたもたしている彼女に会った。 彼女とは……もちろん、千鶴ではない。 彼女は細腕で大荷物を抱え、息を切らしながらバッグの中をまさぐっていた。 「あ、あったあった」 と、俺に鍵を見せるようにしてニコッと微笑む。 「詩織ちゃん?……すごい荷物だね」 「うん……今日寒いから、シチュー作ろうと思って……。 隼斗くん、良かったら一緒に食べない?」 「うん、ありがとう」 ちょっと酷だなぁ。二人を目の前にしての食事は。 でも彼女の手料理、 食べてみたい……。 「じゃあね」 そして俺達は別々の部屋へ入って行く。 礼央の奴、彼女が来る前日の夜に、他の女を連れ込むなんて、マジ考えられねぇ。
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