453人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、帰宅すると、礼央の部屋の前でもたもたしている彼女に会った。
彼女とは……もちろん、千鶴ではない。
彼女は細腕で大荷物を抱え、息を切らしながらバッグの中をまさぐっていた。
「あ、あったあった」
と、俺に鍵を見せるようにしてニコッと微笑む。
「詩織ちゃん?……すごい荷物だね」
「うん……今日寒いから、シチュー作ろうと思って……。
隼斗くん、良かったら一緒に食べない?」
「うん、ありがとう」
ちょっと酷だなぁ。二人を目の前にしての食事は。
でも彼女の手料理、
食べてみたい……。
「じゃあね」
そして俺達は別々の部屋へ入って行く。
礼央の奴、彼女が来る前日の夜に、他の女を連れ込むなんて、マジ考えられねぇ。
最初のコメントを投稿しよう!