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もう一度、その声がして振り返ると……。
……ああ、この人か。
「庄司さん。先日はお世話になりました」
先週会社訪問してお世話になった、先輩だった。
「いや、いいんだよ。就活関係なくまた遊びに来いよ。社長もお前のこと気に入ったらしいし」
「マジっすか!?」
「良かったな、たまたま会えて。なかなかいないぞ、会社訪問の時に会える奴なんて」
「ありがとうございます!!」
そこは、俺の第一希望の建設会社だった。
「藤谷、私服だと雰囲気違うから、ちょっと自信なかったよ」
「雰囲気違うって、それは……」
色黒で、会社訪問の時に後ろで束ねていた少し長めの髪は、緩いパーマがかかっていた。そしてスーツにサングラス……。
「怪しいッスよ、庄司さん。最初誰かと思いました」
「ははは、よく言われる。いいんだよ、営業じゃないから」
立ち話で大幅な時間ロス……。しかし今後世話になるかもしれない先輩だ。無視はできない。
庄司さんと別れて、再び俺はダッシュした。
彼女が待つ店へ……。
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