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こんなふうに、肩を並べて歩けるだなんて。
礼央に遠慮しなくていいなんて。
嬉しくて、つい顔がほころびそうになる。
隣で、舞子よりも小さな彼女は、まるで少女のようにかわいらしい。
何かもじもじしているようなしぐさが、いとおしい。
「あの……隼斗くん、この前、ゴメンね……」
……ゴメンって、キスのこと……?
「えっ?ああ……うん、いいよ」
「あの……重かったでしょ?」
なんだ、そっちか……。
やっぱり寝ぼけてたんだな……。
「詩織ちゃん」
「ハイ?」
「顔、赤いよ」
その愛くるしい鼻を、人差し指でチョンッと弾くと、
彼女は
「キャッ」
と小さく跳びはねた。
まるで喜んでるみたいだ。
気のせいだとは思いたくない。
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