涙の雫

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なんとか、店に入ってきてもらえた。 礼央には「悩んでる」なんて言ったが、買うものは実はもう決めてあった。 「何を買うかは決めてあるの?」 彼女に聞かれて 「ピアス」 と即答した。舞子は高校時代からピアスをしていたし、郵送しやすくて良いかなと思ったからだ。 バイトをするようになって、ようやくまともなアクセサリーをプレゼントできるようになった。 淡いブルーの石がきれいだったので、俺の好みでそのピアスに決めた。 アクアマリン。 海が好きな舞子にピッタリだ。 結局俺がひとりで決めたので、詩織ちゃんの意見はまるで聞かなかったし、彼女を引っ張り出す必要はなかっただろうと言われれば、そうなのだが。 「かわいーーい」 そんな彼女が、ショーケースをじっと覗き込んでいる。 指輪か。 「おとりしましょうか?」 店員がそう声をかけてきたので、 「つけてみれば」 と言うと、恥ずかしそうに照れ笑う。 「あっ、う、うん」 そんなやりとりをしていると、 「あれっ藤谷さん!こんにちは」
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