454人が本棚に入れています
本棚に追加
なんとか、店に入ってきてもらえた。
礼央には「悩んでる」なんて言ったが、買うものは実はもう決めてあった。
「何を買うかは決めてあるの?」
彼女に聞かれて
「ピアス」
と即答した。舞子は高校時代からピアスをしていたし、郵送しやすくて良いかなと思ったからだ。
バイトをするようになって、ようやくまともなアクセサリーをプレゼントできるようになった。
淡いブルーの石がきれいだったので、俺の好みでそのピアスに決めた。
アクアマリン。
海が好きな舞子にピッタリだ。
結局俺がひとりで決めたので、詩織ちゃんの意見はまるで聞かなかったし、彼女を引っ張り出す必要はなかっただろうと言われれば、そうなのだが。
「かわいーーい」
そんな彼女が、ショーケースをじっと覗き込んでいる。
指輪か。
「おとりしましょうか?」
店員がそう声をかけてきたので、
「つけてみれば」
と言うと、恥ずかしそうに照れ笑う。
「あっ、う、うん」
そんなやりとりをしていると、
「あれっ藤谷さん!こんにちは」
最初のコメントを投稿しよう!