涙の雫

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と背後から声をかけられ、振り返る。 ああ~。最近、多いんだよな、こういう女子。 茶色くて長い髪で、みんな緩めのパーマをかけてる。顔も体型も服装も似たようなのばっか。 特に今年入学した一年の女子は、こぞって同じスタイルだ。 最近は学食に入ると、見た目にも香水のきつさにもうんざりする。 で、こいつら誰だっけ? 「先日はお世話になりました~」 「ああ、えっと、なんだっけ?」 俺がそう言うと、指輪をはめていた詩織ちゃんは後ろ向きのままクスクス笑い出した。 「ええ~っ。新歓コンパの時、隣に座らせていただいてたんですが……」 「……ああ、そうか」 思い出した。 ……千夏と、薫だ。 よっぽど可笑しいのか、横で詩織ちゃんは苦しそうにまだ小さく笑っている。
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