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「あのあと私たち、岸本さんに送ってもらったんですー」
あヤバイ。
それ、言いやがったな。
クスクス笑いはピタリと止まり、今にも大雨降りそうな様子になってきた。
まずい。
「どう?」
さりげなく声をかけると、
「うん、すごく可愛いよ」
ほら、と右手を見せてくれた。
精一杯、振り絞られた声で……。
「じゃあ、それもお願いします」
えっという表情をする彼女にさりげなく背を向け、女子二人の方へ振り返った。
「それじゃあ藤谷さん、私たち、失礼しま~す。お邪魔しました」
指輪を購入中の二人の間に割り込んでいては、お邪魔だと空気を読んでくれたようだ。
良かった……。
店員から包んでもらった品物を受け取り、外へ出る。
隣を歩く彼女の表情は、いっこうに明るくならず、曇ったままだ。
そんなに、礼央と、あの女たちのことが気になるのか……。
そんなに、礼央がいいのか?君を裏切ってばかりなのに!?
ちゃんと立ち止まった時に渡そうと思っていたけど、我慢できず、歩いている途中で、
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