隣人・礼央

2/11
前へ
/344ページ
次へ
礼央との出会いは、入学してすぐだった。 朝、家を出る時に顔を合わせると、 「よぉ!」 と声をかけてくるので、 「ども」 とだけ返事をする。 いつも朝からテンションが高いため、若干うっとおしいなと思う時があるぐらいで。 ただそれだけの仲だった。 しかし、三ヶ月が過ぎた頃の、 ある蒸し暑い夜のことだった。 ドンドンドンドンッ! うたた寝していた俺は、その乱暴なノックの音で、飛び起きた。 ドアスコープを覗きこむと、見覚えのある男・隣人が立っている。 チェーンをかけたまま、ドアを開けた。 「はい?」 「よぉ。隣だ」 そいつは偉そうに、仁王立ちしていやがった。 「……知ってる」 「お前、麻雀できるか?」 「麻雀?……うん、できるけど……」 「つぅか何警戒してんだよ、俺だぞ!隣だぞ!いい加減チェーン外せよ!!」 奴は手を入れて強引にドアを開けようとしやがった。 十分要注意人物ではないか!俺は警戒体勢を崩さなかった。 すると、奴の後ろから、 「ゴメンなぁ~」 と長身の男が現れて、謝ってきた。
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加