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礼央との出会いは、入学してすぐだった。
朝、家を出る時に顔を合わせると、
「よぉ!」
と声をかけてくるので、
「ども」
とだけ返事をする。
いつも朝からテンションが高いため、若干うっとおしいなと思う時があるぐらいで。
ただそれだけの仲だった。
しかし、三ヶ月が過ぎた頃の、
ある蒸し暑い夜のことだった。
ドンドンドンドンッ!
うたた寝していた俺は、その乱暴なノックの音で、飛び起きた。
ドアスコープを覗きこむと、見覚えのある男・隣人が立っている。
チェーンをかけたまま、ドアを開けた。
「はい?」
「よぉ。隣だ」
そいつは偉そうに、仁王立ちしていやがった。
「……知ってる」
「お前、麻雀できるか?」
「麻雀?……うん、できるけど……」
「つぅか何警戒してんだよ、俺だぞ!隣だぞ!いい加減チェーン外せよ!!」
奴は手を入れて強引にドアを開けようとしやがった。
十分要注意人物ではないか!俺は警戒体勢を崩さなかった。
すると、奴の後ろから、
「ゴメンなぁ~」
と長身の男が現れて、謝ってきた。
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