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「こいつ、物の頼み方がなってなくてなぁ。迷惑かけたな。大声聞こえてきたんで、飛んできたぜ。ばかか、お前は」
こっちの奴は背は高いが、腰は低いんだな。
彼が隣人の頭を軽く叩くと、
パシン、といい音がした。
「あ、いいや……。少し驚いたけど……」
俺はそう言いながらチェーンを外した。
「俺、森真二郎、こいつは岸本礼央。教育の一年。……そちらは?」
背の高い男は隣人の頭を軽く叩き続けながらそう言った。
「藤谷隼斗……工学部の一年」
「良かったー。やっぱり一年か。こいつから絶対一年だ、とは聞いていたけど確信なかったから。じゃあちょっと一緒に、麻雀やらないか?一人足りないんだよ」
「あ……じゃあ、すぐ行くから、部屋で待ってて。鍵、閉めてくからさ」
「おう、待ってるぞ」
彼は隣人を羽交い締めするような格好で、部屋へと戻って行った。
その滑稽にも見える様子を見届け、冷蔵庫に残っていた数本のビールを持参して隣の部屋をノックした。
「ほーい」
と、見たことのない男が出て来た。
今度はえらく小柄な奴だ。
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