隣人・礼央

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俺は本来人見知りなほうなのだが、奴らの人なつっこさに、 まんまと丸めこまれてしまった。 飲み込まれた……というほうが正しいかもしれない。 その小柄な男、川崎晃や、その日不在だった西沢秀樹とも、すぐに馴染んでしまった。 その二人は経済学部で、四人はライトスポーツのサークルで出会ったという。 『ライトスポーツ』というサークルは、決して真剣勝負をするのではなく、あくまでもスポーツを楽しむ目的のサークルらしい。テニスとか、ボードとか、サーフィンなどを楽しんだ後に飲み会をするという……。 どちらかというと飲み会のほうがメインのようだ。 そのサークルに誘われたが、入らなかった。 うちは裕福じゃない。 父は俺が幼い頃に亡くなり、それからは母が女手ひとつで俺を育ててくれた。 奨学金をもらいながら大学に行かせてもらってる。
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