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「あの夜から…」
「え?」
「あの夜から…ですよね。
こんな風に、沢山話すようになったのは。」
先生と高城が夜の教室で話しているのを鉢合わせた時からだった。
もっとも、話していた内容なんて知らないし、未だに聞かされていない。
何だ、何だ、と意識しなければ、ずっと只の『担任の先生』だったはず。
「今、聞くのもなんですけど。」
先生は次の言葉を待つように生唾を飲み込んだ。
「何やってたんですか?
高城と。」
「……一応、口止めされてんだよな。
条件付きでさ。」
口止めって…条件って…
何故、そんな取り引きみたいな事が行われたのか。
先生の困っている様子、話す事による破棄状態よりも、好奇心の方が遥かに勝った。
「知りたい。教えてよ。」
私は興奮を抑え、努めて冷静に催促した。
掴む右腕に力を入れながら。
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