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「さて、と。桔梗はどの辺にあるのかしら?」
診療所からしばらく歩いたところで、姫はミントに尋ねた。
「そうですねぇ、もうそろそろの感じがしますが……。」
ミントがランタンを左右にふりながら周りを見渡した。
木の間を通り抜ける風が、森の木々の青々とした香りを運んでくる。
澄み渡った空の色と樹木の輝く碧色が二人を優しく包みこみ、
小鳥のさえずりが心地良いリズムを刻む。
「……綺麗な森ね……。」
姫がうっとりしたように呟いた。
「ええ、この辺の木や動物達ははユースケさんのおかげでみんな元気ですから……。」
なるほど、と姫は納得する。
「最初はひどい医者だと思ってたけど、なんだかんだ言ってちゃんと仕事はするのね。」
「はい、いつもお世話になってます!
いつもお世話に……。
…いつもケガして……。
……いつもわたしはドジばっかり………。
………ああもう、どうせわたしなんて………。」
「ちょっとミントちゃん!?
そんな座り込まないでー!」
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