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ハイトさんの話によると町の子どもが二人。魔族に連れ去られたと言うのだ。
――魔族というのはこの世界に溢れている魔法の力。僕達はその力を使って炎をおこしたり、水を操ったり、風でものを切り裂いたりと色々な力に使ってきた。
そしてその力を使うには感情を制御することが大事だと教えられる。
炎を使うには怒りや情熱といった感情を高ぶらせ、水の魔法を使う時は水のようにゆったりと心を落ち着かせ、風ののように全てを知る心が必要なのだ。
そういった感情の中に憎悪とか恨みといったものも存在する。
太古の昔。魔族は存在しなかったと伝えられている。
しかし、人と人とが争いを続ける中、突如として凶悪な生き物が現れたという。そこは戦場の真ん中だったりか、兵士達の墓場だったりしたらしい。
そこには憎悪や恨みが渦を巻いて溢れていたという。
そういった感情が集まった時、何かのきっかけで感情が具現化したものが魔族だとされている。
ハイトさんは子ども達に連れられて町外れで雪合戦をして遊んでいたらしい。そこまでは至って普通な微笑ましい光景だ。
ただそこで黒い影かハイトさんの目の前を横切った。
それには目はなく鼻もなく、ただたんに黒い塊だったらしい。その黒い塊からは手と足がはえていて、子ども達が悲鳴を挙げるとそちらを向いて、子ども達の存在に気付くと子ども達を腕に抱えて町の東にある森に消えていったらしい。
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