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ハイトさんの話を聞いて僕は震えが止まらなかった。
みんなの視線が僕の方を向いた。それに驚き僕が身を屈めた後、集まっていた町の人全員からため息がでた。
最初から僕には期待していなかったらしい。確かに話を聞いただけで怖くて足は震えたけどさ、ちょっとぐらい僕を頼ってくれたっていいようなもんだけどな。なんて思っていても口には出来ない。魔族の所にわざわざ行くなんて死にに行くようなものだ。
僕にはとても森に行くことなんて出来ない。
周りが困惑し始めた。誰が助けに行かなきゃ行けない。けれど、自分で行きたくはない。そんな声が聞こえてきそうだ。
そんな時、ハイトさんが沈黙を破った。
「俺がいくよ」
その言葉でみなが驚きの声を挙げた。
「俺、最近冒険者になるのもいいかなぁ、って思っててさ、決心するにはいい機会だと思うんだ、だから俺が行く」
僕は複雑な気持ちになっていた。森には行きたくない。でも、ハイトさんがやけにかっこよく見えてそれが悔しく思えた。なぜなんだ、森なんて行きたくないはずなのに、ジッとしてられない。
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