1章――落ちこぼれの冒険者

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ただ、リックには問題がある。リックは冒険者としての能力が最低レベルなのである。 クラスはダークナイト。父親と同じだ。 冒険者にはクラスと呼ばれるものがある。一般的にはファイター、ウィザード、ヒーラー等色々ある。 ダークナイトは珍しいクラスで滅多にお目にかかれるものではない。 何故リックはレベルが低いにもかかわらず、ダークナイトなんて言う希少なクラスになれたのは一重に父親のおかげなのだが当人はまったくそれに気付いておらず、自分の実力だと勘違いしている。 ダークナイトに必要とされるものは暗黒石と呼ばれる、宝石が必要なだけである。 通常それはダンジョンに出向き自分で探し当てるものなのだが、リックの場合は父親が置いていった為に冒険者になった時からダークナイトになることが出来てしまった。 これが厄介なのだ。ダークナイトなどの上級職ともなれば、依頼もより一層難しいものになっていく。 依頼が難しいと言うことは、相手になる魔族も強いと言うことが多い。 しかし、リックにはそれらの魔族を倒す術がないのだ。だから、リックは逃げ続ける。 それだったら簡単な依頼をこなせばいいのだろうと思うのだが簡単な依頼はダークナイトと聞いただけで依頼主が断ってしまうので、リックはどうしようもなくリン=クリスに留まっているのだ。 そしてそんな冒険者を町の人はいらないと思っている。しかし、他の冒険者が留まってくれないためにしょうがなくリックに頼んでいるのだ。
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