俺の世界

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 おかしいのが頭ではなく眼だと気がついたのは六月の十九日。彼にはなにか違うものが見えていて、それとコミュニケーションをとりながら生きているのだ。それが何かはわからなかったが、単純なオカルトでないことは明らかだった。  彼は見えないなにかを感じながら、どうやら俺が考えもつかないような渦巻くなにかを抱えている。そう思った。けれど、だからといって彼にアクションを起こすほど行動的でない俺は、そのまま彼の話に耳を傾ける毎日を選んだ。彼のことは苦手だったが、居心地がよかった。もしかしたらこのころから苦手と感じなくなっていたのかもしれない。  そして七月四日、俺はおかしな眼をもつ彼は眼ではなく心が特殊なのではないかと推測した。彼に見えているのは実像ではない。ときおり彼は俺に言った。はやく彼に気づいてやって欲しいんだ、彼がそこにいるなんて、なかなかないことなんだからさ。彼曰く、俺には素質があるらしい。何のことかは教えてくれなかった。意味がないと、言われた。
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