プロローグ

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結局、教室に行くのも面倒くさいからしばらく体育館でボーっとした後、LHRの存在など忘れ、そのまま俺は家路へと着いた。 入学そうそうにサボタージュというのもどうかとは思うけど、まぁそれもいいかと割り切る。 翌日。教師にお小言を言われたことは云うまでもない。 そして2ヶ月後。生徒総会の場に生徒会長が現れることはなかった。 その後も体育祭、文化祭など大きなモノから小さなモノまで、全ての行事で生徒会長の姿を見ることはできなかった。 唯、悪戯に時間を過ごすだけというのも癪に障るので、生徒会長についての情報を探ってみたりした。結局、何も分からなかったけど。 「生徒会長?一度も顔見たことないし、名前も知らないしなぁ。流石にその状態も2年目に突入すると慣れちゃって気にもならないね」とのことだった。 ふと俺はここで疑問が湧いた。 なんで2年目…?普通、秋に選挙が行われるからまだ任期は半年じゃないのか、と。 それについても偶々食堂で出会い、俺の質問に答えてくれた3年生が教えてくれた。 立候補権は1年生の時から貰えること。選挙は秋ではなく春に行われること。生徒会メンバーの任期は1年間だということ。しかし生徒会長だけは卒業までが任期になってるということ。 だいぶ特殊な仕組みになってるんだなぁと思った。 そして、だから今の生徒会長は2年目なんだなと理解した。 何故そんな仕組みになってるかは知らないけれど、この学校ができたときからの伝統なのだそうだ。 今の生徒会長のように1年生で当選する人は稀らしい。 ただ、選挙自体は存在するのならその時に顔を見たのではないかと矛盾点を指摘してみたら、立候補した者達はみな落選したのに、何故だか知らないが立候補者の中には居なかったはずの1年生が生徒会長に決まっていたという。 公表も学年しか知らされなかったとか。だから名前も知らない。 兎に角、分かったことといえば何もかもが謎に包まれた人物だということだけだった。 でも、誰にも正体がバレずにこの学校の生徒の中に紛れているというところは少しドキドキした。 謎が多いと暴いた時の楽しみが増えるからだ。 そうそう、もう一つ。生徒会メンバーのファンクラブは存在しなかった。どうやら俺は本や漫画の読み過ぎらしい。現実にそんなものが存在する事は無かったようだ。 これについては少々落胆した。 あったら絶対面白かったのに……
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