第Ⅰ章-退屈な日々-

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「けどさー、オレマジであると思ってたんだよね」 「何が?」 「こうさ…キャーとかカッコいい!とか抱いて欲しいとか抱きたい、とかいう黄色い声援が。」 「ああ…それね」 俺もあると思ってた。まぁそんなことは無くて、いたって真面目に、且つ静かに集会なんかが行われていて、はっきり言ってつまらなかった。 「現実はオレたちに冷たいよなぁー」 「そうだね」 「でも…」 「…でも?」 「蒼の方がもっと冷たーい」 「………」 「えっ、無視かよ!」 いい加減、同じコトを言われ続けて面倒くさくなったので返事すら返さなかった。 しかし、そんなことで引き下がる晃毅ではなかった。 「いーよ別に。蒼羽のむっつりスケベ!」 「はぁ?なにそれ」 晃毅は、機嫌が悪くなると、いつも俺を呼ぶのに使ってる蒼というのが蒼羽になるから直ぐ分かる。あと、何故か悪口の話題が下半身関係の話題になってしまう。 ていうか、思考回路がガキすぎる。 「蒼羽のインポ」 オイ、ちょっと待て。それは流石の俺とて聞き捨てならない単語だぞ! 「インポなんかじゃねーし。オナニーすりゃ勃つっての。」 女の子は可愛いと思うし、それでも勃つっちゃ勃つけど…。2次元目線でオカズにするならエロ本よりBLの方が……ねえ。というか、学校なんかで盛るかっての。それに、自分で言うのもアレだけどストイックな方だと思うし。 「オカズはオレ?」 「アホか。なんで俺が晃毅をオカズにするんだよ。つか、晃毅だって勃ってなかったじゃんかよ。…実はオマエの方がインポだったりして?」 勃ってなかった、とは以前に友人達に誘われてAV観賞会をしたときのことだ。その時は俺と一緒に晃毅もいたけど、お互いに勃たなかった。 単に、俺は汁系のAVが苦手なだけなんだけどね。 「それは、…その……」 「え、マジだった?!」 やっべー…からかったつもりがまさかそんな……めっちゃ気まずいんだけど。 「そんな…そんなわけあるかっ!蒼羽のバカヤローが!!思春期のナイーブな心が傷ついちまっただろっ?!」 「あはは…は…」 じゃあ俺のないーぶな心はどうなるんだ。晃毅には、俺が晃毅と同じように傷ついているという発想はないのか。 ぽそりと呟いたつもりが聞こえていたようで、 「蒼羽の心は鋼鉄だから何を言われてもどうじないんだよ!」と非道い言われようだ。 「そんじゃさぁ…晃毅の心は硝子製かなにかなんデスカ?」 「その通り!」
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