第Ⅰ章-退屈な日々-

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「……この中二病が。いや、それを言うなら高2病か?」 「は?」 「冗談だよ」 なんとも短気なもので、カルシウムが足りてないのかなんなのか、晃毅は今にもキレる寸前だった。 だから、頭をわしゃわしゃと撫でてやったら「もーバカにすんなよ!」と自分から言い始めたことを棚に上げて『蒼はしょうがない奴だなぁ』みたいな態度で照れている。 寧ろ俺の方がキレたいんところなんだけど… まあ機嫌が治ったならいいか、と晃毅の顔を見る。 晃毅をオカズにするのは、俺的にはちょっと、いやかなーり無理があるが、確かに顔は悪くはないと思う。爽やか系な感じだし、中身は兎も角見た目だけなら女の子に良くモテそうだし、照れた表情は男受けもする愛らしさだと思う。 それでいて華奢だから、俺も少しはクラッと……ね。くる訳がないんだ、これが! 晃毅…オマエ全然ちっちゃくねーんだよ!! 身長だってほとんど俺と同じ。俺が175cmあるから、確か…173か4cmだったっと記憶している。それの何処にクラッとすればいいんだっつーの。 「まあいーや。おい蒼、今度オレをオカズにして抜けよ。やったらさぁ…感想、聞かせて?」 「…………じゃあ、晃毅も俺で抜いてみろよ。んで感想聞かせろ。」 俺ばっかおちょくられてるってのも気に入らないから、反撃に出てみた。 「何それ?!オレはいつも蒼で抜いて…」 ふーん…?えっ!何その知りたくもなかった事実!! 俺はどうやら、墓穴を掘ってしまったらしい。 ていうか晃毅は嬉しそうな顔をして語ってるなっての! 「おー、お前等さっさと席着けやー」 「あ、先生来た。んじゃまた次の休み時間に話そうぜー」 「ちょっと、晃毅…」 「大丈夫だって!今のはう・そだから☆」 言葉と共に、ウィンクを1つお見舞いされる。 「や、やめろっ。目が潰れるだろ!」…なんて言えば折角直った機嫌がまた悪化するのは目に見えているので、心の中で叫ぶに留めておく。 一生懸命クールを気取ってるのに、からかわれて動揺して、負けるのは結局いつも俺の方だ。 悔しいが、晃毅は顔に似合わずかなり強かな性格をしているので、勝てないのもしょうがないかと妥協している。 そして妥協している俺の方が大人だとも思ってる。五十歩百歩の差ではあるけれどもね。 だが、野心があるのも確かなのだ。在学中に1回でいいから晃毅に口で勝ってやるという密かな目標が、俺にはある。
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