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そこは、現代でいうなら日本のような国だった。
緑が溢れ、人々が笑いながら生活する明るくきれいな世界だった。
しかし、その世界には一つの大きな問題があった。
それは……
大地を揺さぶり、あらゆる物を呑み込む凄まじく恐ろしく、怖ろしく、おぞましい。
そう、その世界は地震が多かった。
揺れなど今の日本の比ではなかった。
その世界では、山すら割れるほどの地震が起こったこともあった。
世界の人々は常に恐怖で満ち溢れていた。
そんな世界の中、一人の男がなにをするでもなくただぼーっと空を見ていた。
その男、木好海好は深い緑のつなぎをきて、頭にはバンダナを巻いていた。
特に何という訳でもなくただ単に動きやすいから着ているだけだった。
しかし、周りからはそういう仕事をしているように見えるのか良く家の修理などを依頼されることも少なからずあった。
「………暇だなー。」
海好はあくびを噛み締めながら空を見ていた目をふと、商店街の方へ向けてみた。
ソコには何故か人だかりができていて、その中心で怒鳴り声が聞こえた。
「あぁ…またか。」
そう呟いて人だかりに近づいていく。
人だかりの中心では、ひとりの子供がいかにも“イイクラシ”をしています。とでもいうような感じのオバサンに腕を捕まれ、手に持っている日傘で滅多うちにされていた。
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