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宙を連れた海好は街のはずれにある小さな施設へと向かった。
「よーし、着いたな。」
「好にい…ここどこ?」
たどり着いた小さな施設を前に、不思議そうな顔を海好に向ける宙。
「ん?入れば分かる。ということで…。」
海好は軽くドアを叩き、ドアノブを回した。
「おーい、瑠璃いるかー。」
海好が中に入り声をかけるとパタパタと何人かの足音が近づいてきた。
「うみよしぃー!!」
「るぅちゃん!うみよしが帰ってきた!」
「おかえりー!!」
足音の主たちは口々に話し出し、後からついて入ってきた宙が少しだけ後ずさった。
「よう、お前ら、元気そうじゃねぇか!」
海好は屈み込んで目の前にある3つの頭を撫で回した。
「ところでさ、瑠璃いないか?…あー…るぅちゃんのコトなんだけどな?」
「私はここにいるわよ。」
海好が子供たちに問いかけていると、海好の後ろから声がした。
「ひっ…。」
宙はビックリしたのか、海好にしがみついた。
「あ、瑠璃、外にいたのか。」
「えぇ、ちょっと今夜のご飯の材料を、ね?」
瑠璃はそう言って後ろをヒョイと振り返る。そこには宙と同じくらいの女の子が立っていた。
「お、ユラもいたのか。」
「うん、久しぶり、海好さん。」
ユラはハキハキと返事を返した。
それを見て微笑んでいた瑠璃は海好を見て、それから宙を見た。
「なるほどね、何しにきたかわかったわ。」
「ん?そうか?」
「その子をこの施設に入れたいんでしょ?」
「そうそう、なんだ、説明はいらないな…で?どうなんだ?入れてくれるだろ?宙は家がないんだ。」
宙の方を見てから、海好は瑠璃に宙の身の上を話した。
「なるほどねぇ。」
「いいだろ?」
「あの、」
今まで後ろにいた子供たちと話していた宙は、海好たちが自分のコトを話していたのが分かったのか、話に入ってきた。
「僕の…コトを話をしてたんですか?」
「そうだ。今日からここが宙の家だぞ!」
「ちょっと!勝手に決めないで!」
瑠璃は海好を制して宙の前に屈み込んだ。
「えぇと、宙くん。あなたの身の上はわかったわ。そこで何だけど…ここに住まない?」
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