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「俺は今、 どこにいると思う。 なぜ、 こんな所にいるんだ」
側から聞けば意味不明で不気味な独り言は、 俺の苦手な景色に吸われて消え失せていく。
サンサンと照り輝く太陽。
辺りに積もった熱く白く石灰石の塊などが混じる小さな粒。
青く広大に視界を占めるミネラル豊富な水。
ヤキソバやらフランクフルトやらかき氷やらの芳しい香り。
ゲイル風に言えば、セクシーギャルの宝庫だ。
──もう良い面倒臭い、暑い、熱い、 怠い、眠い、腹減った。
「海だ。 ああ海だ。 何だコレは。 海だ。 クソッタレ」
俺たちが住む街を南下した街の近郊にある行楽地。 むしろ街の方が付属品なのではと思う程栄えたこの場所は、 シーズンにつき人間がわんさかと。
人人人、人が目に入らない方向は無い。
なぜに最低にドライで冷め男な俺がこんな所に来ているのか。 その原因はつい先日──終業式の日まで遡る。
が、 面倒だから省く。
ただジェイドとゲイルとシェルクと──とにかく強引に連れてこられたんだ。
白のハーフ海パンジェイドと白のワンピースシェルク。 コイツらが主犯。
いつも思うが2人ともセンスが良い。 色、 模様、 雰囲気、 何を取ってもピッタリだ。
爽やかな美男子に清楚な美少女、なんて目に毒なのだろう。
赤いトランクスタイプのゲイルと黒リボンビキニのアニア。 最早お馴染み。
なんかもう、 ゲイルはとにかく赤だ。 アニアの落ち着いた大人っぽさとは真逆に。 髪と瞳の色も相俟って、 炎柄の色が煩い。
なんだかヒラヒラしたトップとショートパンツのセパレートタイプ、 ツバキ。 なぜ来たのだろう。俺と同じくムリヤリだろうか。
いつもよりも子供らしい可愛らしさを演出しているのか、 出張りのほぼ無い身体がいつも以上に幼く見える。 空気はこの上無く落ち着いているのだが。
そして、 なぜかウィン。 青色のタイトな海パン。 クールだ。 自分の性格をよく分かっている。 夏に穿く海パンなのになぜ氷の柄なんだか、意味不明であるのに理由は明瞭だ。
コイツこそなぜ来た。 正直コイツとは剣を交えるイメージしか浮かんでこないのだが。 海という常夏の空気に微塵も合っていない。というか、分離している。
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