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「…………」
「……」
「………………」
甘、かった。
関係無い? 大有りだ、なんだこの空気は。
……会話が無い。
勝手に気まずい。独りでに気まずい。つまるところ気まずい。
ツバキは結局遊びには行かず、俺と一緒に荷物番をしてくれている。何がどうしてかは全く知らないが、どうせなら遊んでこれば良いものを。
……と、俺が言うのはどうかしている。
日差しという殺人光線をパラソルの下で避け続けること、時間にして15分。たったの15分。
まだその程度しか経っていない。 にも拘わらず、既にこの空気から逃げ出したくて仕方ない俺がいる。
というわけで、
「……何か買ってくる」
逃げる。静かな場所が好きな俺だが、この空気にはとても堪えられない。話のネタか、気を逸らせられる何かが必要だ。
言下、ツバキの返事を聞くことなく、財布を持って素早くその場を離れた。
──フゥ……キツい。お互い口下手過ぎる。ともあれ、何を買うべきか。ヤキメン、フランク、 オニギリ……。
独り思案しながら、その辺にわんさか林立する出店へと足を運んだ。
10時半、まだ昼メシには早い。軽い物にすべきだろう。この暑い中ならば、
「かき氷、か」
夏定番の氷菓の名を呟きながら、 独り口角を歪める童顔の男。
ソイツは端から見たら相当イタかったことだろうと思う。
悪いが、俺は無類の氷好きだ。 年中アイスを食う。冷えたもの同士相性が良いらしい。
まぁ、元から変わった性格だ。 誰に知れたとて、今更驚く事でもない。
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