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「チェリーは相変わらず怖がりだな? まあ、可愛いけど…」 「あ、あの… 助けてくれてありがとうございます!」 「チェリー? 俺の事分かんないの?」 「ん?」 ちえりは赤髪の男の子を見つめると、首を傾げて考えていたがフッと気付く。 「チェリーって… それはアキちゃんしか呼ばないあだ名」 「当たり」 「アキちゃんなの?」 「そうだよ、チェリー」 「ひ、久しぶりだね?」 「そうだな。 何年ぶりだろうな」 暁がフッと微笑んで思い出す素振りを見せると、ちえりはグッと腕を掴んで走り出した。 「ち、チェリー?!」 「ちょっと一緒に来て?」 「図書室で良くない?」 「あ、うん? そうだよね」 ちえりは暁に手を引かれて図書室へと入ると、奥の方へと連れていかれた。 「あの、暁ちゃん?」 「…ちえり」 「えっ?!」 「ちえりって名前だったよな」 「うん?」 ちえりがキョトンとした顔で頷くと、暁は優しい笑みを向けてくる。 「腕平気か?」 「あ、うん… ちょっと捻っちゃったけど何とか」 「見せて?」 「えっ?! そんなに大した怪我とかじゃないよ?」 「見せないと意地悪するけど、いい?」 「…わ、わかりました」 ちえりは恥ずかしそうに制服の袖を捲ると、少しアザになっており痛そうにしている。 「保健室行こうか」 「…でも、入学式があるよ?」 「いいから、行こう」 「…う、うん」 ちえりは暁に腕を引かれて保健室へと向かうと、暁により湿布を貼ってもらった。 「ありがとう、アキちゃん」 「ごめんな? 俺がすぐにチェリーに気づけばこんな痛い目遭わなかったよな」 「違うよ? あの人が悪いんだよ」 「アイツ、蹴散らしとく」 「それは駄目! 暁ちゃん、不良のリーダーなんだよね?」 ちえりがそんな風に聞いてくる為、暁はハァーっと溜息混じりにこう言った。
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