★0

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「ちえり? 嫌なら嫌って言わなきゃ駄目だろ?」 「え?」 「わかった?」 「う、うん?」 暁はちえりの素直な返事を聞くと、フッと微笑み保健室のソファーに座る。 「ちえり、隣来て?」 「う、うん?」 ちえりは恥ずかしそうに隣にチョコンと座るが、暁は距離が余りに空きすぎなのだからムッとなる。 「ちえり?」 「ん?」 「遠くない?」 「えっと、別に近くなくてもいいよね?」 「けど、離れすぎ」 「うぅ…」 ちえりはとても恥ずかしいらしく、この距離がギリギリラインなのである。 「ちえりがその気なら、俺にも考えがある」 「え?」 ちえりが暁の方を何となく見やると、次の瞬間暁の頭が膝に寝転がってきた。 「え?」 「ちえりが逃げるから、お仕置き」 「あ、暁ちゃん?」 「ちえり?」 「な、何?」 「膝柔らかい」 「は、恥ずかしいから降りて!」 「やだけど?」 「な、何でこんな意地悪するの?!」 「ちえりに意識して貰いたいし、好きだからじゃん?」 「だ、だからって…」 ちえりがとても戸惑った顔をすると、暁は下から手を顔へと伸ばしてくる。 「…ちえりは可愛いな」 「だ、駄目」 「イタッ?!」 「あっ…」 「ちえり、罰としてデートしろ」 「え?」 ちえりが呆気に取られた顔で暁を見下ろすと、暁はフッと微笑み起き上がった。 「で、デートって言ったの?!」 「うん? デートしたい」 「何で急にそんな発想に繋がったの?」 「え? 普通にちえりと一緒に居たいからだよ」 「…!」 ちえりは予想していなかった返答に驚いたが、頬を赤らめると暁に背を向ける。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加