1205人が本棚に入れています
本棚に追加
チン太郎「じ……純……」
チン太郎は頭の中が真っ白だった。純が押され気味だったとは言え、負ける事はないと思っていた。
一平「ど…どう、すん…?」
一平はこういった事に慣れていない為か、かなりテンパりまくっている。
「はぁ……。疲れたぁー……。顔めっちゃ痛ぇー……」
オッサンは鼻血を拭い、電話を出した。
「…………あ。病院っスか?なんか学生が公園で……はい……多分リンチに遭ったらしくて。かなり重傷です。顔面血だらけで……。はい……。場所は………………」
オッサンは病院に電話をかけ、救急車を呼んだ。
チン太郎と一平は呆然とした表情で、それを見ていた。
オッサン「はい…。はい。よろしくお願いします」
オッサンは電話を切って、ケイタイをポケットにしまった。
オッサンはチン太郎達に歩み寄った。その目に敵意はない。
「悪いが…さっき言ったように、俺が盗った鞄を持ち主に返しておいてくれ」
一平「そ…あ……」
一平は何か言いたそうだったが、黙りこんでしまった。
チン太郎「分かり…ました」
チン太郎は若干震えながらも答えた。
「あと…あいつに…言っておいてくれ」
オッサンは純を指す。
「まだお前は弱すぎるってな」
純が目を覚ましたのは、その日の夜だった。目に映ったのは、白い天井。右を見るとすっかり暗くなった空。
純「…………」
純は自分がいる場所が病院であると気付いた。そして、オッサンに喧嘩で負けたのにも気付いた。
と、同時に、悔しさが込み上げてきて、涙に変わり目から溢れ出た。
最初のコメントを投稿しよう!