ひったくリーマン

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チン太郎「じ……純……」 チン太郎は頭の中が真っ白だった。純が押され気味だったとは言え、負ける事はないと思っていた。 一平「ど…どう、すん…?」 一平はこういった事に慣れていない為か、かなりテンパりまくっている。 「はぁ……。疲れたぁー……。顔めっちゃ痛ぇー……」 オッサンは鼻血を拭い、電話を出した。 「…………あ。病院っスか?なんか学生が公園で……はい……多分リンチに遭ったらしくて。かなり重傷です。顔面血だらけで……。はい……。場所は………………」 オッサンは病院に電話をかけ、救急車を呼んだ。 チン太郎と一平は呆然とした表情で、それを見ていた。 オッサン「はい…。はい。よろしくお願いします」 オッサンは電話を切って、ケイタイをポケットにしまった。 オッサンはチン太郎達に歩み寄った。その目に敵意はない。 「悪いが…さっき言ったように、俺が盗った鞄を持ち主に返しておいてくれ」 一平「そ…あ……」 一平は何か言いたそうだったが、黙りこんでしまった。 チン太郎「分かり…ました」 チン太郎は若干震えながらも答えた。 「あと…あいつに…言っておいてくれ」 オッサンは純を指す。 「まだお前は弱すぎるってな」 純が目を覚ましたのは、その日の夜だった。目に映ったのは、白い天井。右を見るとすっかり暗くなった空。 純「…………」 純は自分がいる場所が病院であると気付いた。そして、オッサンに喧嘩で負けたのにも気付いた。 と、同時に、悔しさが込み上げてきて、涙に変わり目から溢れ出た。
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